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山外 功太郎; 今岡 達彦*; Le Ngoc Thiem*; 松本 義久*
放射線科学, 52(10), p.21 - 25, 2009/10
平成21年9月3, 4日に経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA)の常設委員会である放射線防護・公衆衛生委員会が主催する「第5回放射線防護体系の進展にかかわるアジア会合」が開催された。本会合では、若手が企画するセッション「放射線防護に責任を有する若手専門家の確保と育成」が設けられた。本報告書では、若手セッションの企画から実施までの印象を、各講演者と座長の立場から述べる。
長屋 俊; 倉上 順一; 峯尾 幸信; 米澤 稔
放射線科学, 52(4), p.15 - 25, 2009/04
国際原子力情報機関(IAEA)の行っている原子力文献情報提供活動、特に国際原子力情報システム(INIS)を中心に紹介を行った。
小林 卓也
放射線科学, 52(3), p.53 - 57, 2009/03
下北沖海域における使用済燃料再処理施設の平常時及び異常時に海洋へ放出される放射性核種の移行を予測する海況予測システムを開発した。本システムには京都大学が開発した京大海洋モデルと、原子力機構が開発した海水中物質移行予測モデル(SEA-GEARN)が格納され、2つのモデルを用いて海洋中に放出された放射性核種の移行計算を実施する。本システムの適用計算として、2006年1011月を対象とした再解析実験を行い、再処理施設起因の放射性物質が沿岸に到達する可能性について検討した。その結果、下北沖海域の流動場は絶えず変化するため再処理施設から放出される液体放射性核種は複雑な分布を示すことが判明した。また、今回の計算結果から再処理施設起因のトリチウムが沿岸に到達することは明らかであり、今後バックグラウンド値の800倍の濃度のトリチウムが検出される可能性がある。ただし、青森県は、再処理施設の操業に伴う環境モニタリングへの影響として、海水中トリチウムの施設寄与分(増分)として300Bq/Lを予測している。計算による沿岸域におけるトリチウム濃度の変動範囲は082.6Bq/Lであり、青森県による想定の範囲内である。
佐藤 達彦; 加瀬 優紀*; 渡辺 立子; 仁井田 浩二*; Sihver, L.*
放射線科学, 52(2), p.47 - 53, 2009/02
従来、別々に研究されてきたマイクロドジメトリとマクロドジメトリの知見を融合し、粒子線治療における新たな生物学的線量評価法を構築した。具体的には、マイクロドジメトリ分野で放射線種の違いによる生物効果比(RBE)を表すために利用されてきたLineal Energyの概念をマクロドジメトリ分野で利用されてきた粒子線輸送計算コードPHITSに組み込み、従来の計算コードでは評価できなかった粒子線治療による腫瘍部や正常組織など巨視的な空間内における細胞生存率を計算可能とした。発表では、確立した計算手法の概要からその応用まで幅広く紹介する。
浜田 信行*; 岩川 眞由美*; 今井 高志*; 小林 泰彦
放射線科学, 51(8), p.31 - 41, 2008/08
重粒子線治療の際、巨視的にみれば、標的のがん病巣以外に存在する生体内のすべての細胞を、バイスタンダー細胞と考えることができる。バイスタンダー効果に関連して、右肺のがんを光子放射線で照射した場合に、左肺のがんも縮小するというような遠達効果という現象も報告されている。薬剤によって誘発されるバイスタンダー効果が臨床応用されているように、重粒子線誘発バイスタンダー効果もがん治療に利用することはできないであろうか。光子放射線の照射によって誘発されるバイスタンダー効果の程度については、100名以上のヒトに由来する組織を用いた実験から個人差、そして、マウス個体を用いた実験から性差が報告されている。動物個体を用いた重粒子線誘発バイスタンダー効果の報告はこれまでにないが、生体における意義、すなわち、治療への寄与の程度や宇宙飛行士へのリスクを推定するために必要である。
山口 恭弘
放射線科学, 49(9), p.311 - 319, 2006/09
ICRP Publication 74に収録されている光子,電子,中性子の外部被ばく線量評価のための線量換算係数及びこれを理解するための背景や基礎知識に関して解説する。
鳥居 建男
第29回放射線科学研究会資料集, p.7 - 16, 2006/04
日本海沿岸で発生する冬季雷活動時に環境放射線モニタの指示値が上昇することがある。そこで、雷活動による放射線レベルの変動について研究してきた。その結果、雷雲中の高電界領域で逃走電子が生成され、電磁シャワーが発生する可能性が示唆された。さらには、放射線が雷放電を誘発している可能性も出てきた。本講演では、雷雲中での放射線発生機構や放射線による雷放電誘発の可能性について最近の観測事例を交えながら紹介する。
中野 政尚
放射線科学, 49(1), p.23 - 25, 2006/01
平成17年9月26日(月)から9月30日(金)の5日間、オーストリアのウィーン国際センターにて第53回原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)会合が開催された。UNSCEARの概要,会合についての概要に併せ、筆者の印象を含めて報告する。
細谷 梨沙
放射線科学, 48(1), p.37 - 39, 2005/00
若手研究者らが行っている放射能・放射線研究の最近の動向について、平成16年8月に行われた環境放射能・放射線夏の学校での研究発表を中心として紹介する。
吉澤 道夫
放射線科学, 46(6), p.184 - 187, 2003/06
2003年1月27日から31日にオーストリア・ウィーン国際センターで開催された第51回国連科学委員会(UNSCEAR)会合に日本代表団構成員の一人として参加する機会を得た。UNSCEARでは、前回会合から次期報告書策定の検討が開始されており、種々の変化がある。本稿では、チェルノブイリ事故の影響が次期報告書でも引き続き取り上げられる理由,次期報告書における基本方針の変更(「線源と影響(source and effect)」から「線源から影響へ(source to effect)」),webサイトの設置など、最近のUNSCEARの変化を解説するとともに、会合における議論の印象などを述べる。
鈴木 伸武; 清水 雄一
放射線科学, 39(8), p.291 - 297, 1996/00
本稿では、エキシマレーザー光の単色性、高強度性、短パルス性、偏光性などの優れた特徴を有効に利用した有機合成について概観した。内容は、1.レーザー有機化学反応、2.エキシマレーザー光の特徴、3.単色性を利用した反応 (1)汎用化学品の合成 (2)高付加価値化合物の合成、4.高強度性を利用した反応 (1)特異反応 (2)二量化反応、5.短パルス性を利用した反応、6.偏光性を利用した反応などである。
鈴木 伸武; 河西 俊一
放射線科学, 39(9), p.337 - 343, 1996/00
レーザーを用いた高分子の表面改質について研究の現状をまとめ、解説した。まず、高出力の紫外光を発振することができるエキシマレーザーを用いた場合に期待される化学反応の特徴をまとめ、それらを高分子の表面改質に応用した時の従来法との比較を述べた。次にレーザー光化学反応を利用した表面改質、レーザーアブレーションを用いた表面改質の研究現状について解説した。さらに、旧大阪支所で行った光増感剤によるフッ素系高分子の表面改質の反応機構と技術的な特徴を紹介した。
山林 尚道
放射線科学, 36(1), p.2 - 10, 1993/01
原研では1962年から放射線障害防止法に基づく販売の米の許可を取得し、研究炉、試験炉を利用し、有用なRIの生産・供給を継続して来た。医学,農学,理工学分野の研究用トレーサーとして利用される精製RI、K-42,Cu-64,P-32,S-35,Cr-51,Co-60,Zn-65,Mo-99など29核種、31種類、非破壊検査、工程管理に使われる工業用線源Ir-192,Co-60、がん治療に用いられる医療用小線源Ir-192,Au-198,8種類、骨密度測定用Gd-153線源ならびに薬学、生物学などライフサイエンス分野で広く利用されているH-3,C-14,P-32などの標識化合物、さらに最近ではP-32標識ヌクレオチド、放射性医薬品原料としてのSr-89,Y-90,Re-186,188などタンデム、サイクロトロン加速器も含めた高比放射能RIの製造、研究開発を実施している。
源河 次雄; 大久保 昌武
放射線科学, 36(12), p.421 - 425, 1993/00
原研で現在までに製造技術を開発したラジオアイソトープは、40核種、53製品に達する。このうちカタログに記載して有料頒布するRI製品の製造工程管理及び品質管理のために、様々な放射能測定技術及び化学分析技術の開発を行ってきた。放射能検査の項目として、比放射能、放射能濃度、放射性核種純度、等を実施しており、化学検査項目として、液性、化学的純度、放射化学的純度、主元素量等の検査を実施している。これらの検査の技術的背景と、開発の経緯について概略を紹介する。
大塚 英男
放射線科学, 34(7), p.201 - 205, 1991/00
原研・理研共同チームが、西播磨に建設中の大型放射光施設(SPring-8)について、加速器を中心に簡単な紹介をする。以下内容。第1章序章。施設の意義づけ、第2章加速器の構成。磁石等の加速器のコンポーネントも含めて、各加速器の役割と基本性能を述べる。第3章光源、放射光の性質を説明し、SPring-8で得られる光を明らかにする。おわりに4,5章で利用及び建設について簡単にふれる。
藤村 卓
放射線科学, 1989(48), p.23 - 27, 1989/00
サイクロトロンを用いて、植物や動物の生理・代謝等の生体機能を解明するための研究計画を進めている。この研究では、サイクロトロンからのイオンビーム照射によって生成される短寿命のポジトロン放出核種等を用いた生体計測技術を中心として、光・磁気等を用いた各種生体計測技術を複合的に用いることにより、植物・動物・微生物・細胞等の生きたままの生体機能を多角的に解析する。また、イオンビームを生体に照射し、照射中の生きたままの生体機能の変化をin situで計測、解析する。
飯嶋 敏哲
放射線科学, 22(8), p.151 - 157, 1979/00
現在原子力の主役となっている軽水炉1基が環境中へ放出するトリチウムの量は,加圧水型炉(PWR)で年間10~10 Ci(1),沸騰水型炉(BWR)で年間10~10Ci(2)と報告されている。わが国には約30基の軽水炉が稼動中であるから、国全体では年間約210Ciのトリチウムが環境中へ放出されるという計算になる。Burger(3)はいろいろのタイプの原子炉が生成するトリチウムの量を表1のようにまとめているが、これによるとPWRでは放出量の約10倍,BWRでは約100倍のトリチウムが炉内に残っている。Rohwer等のレポート(4)には,軽水炉のトリチウム年間生成量が西暦2000年頃には1.510Ciに達することが紹介されている。炉内に残存するこれらトリチウムは燃料再処理施設に送られ,回収処理が特別に行わなければ環境中へ放出される。Rohwer等の紹介では,ウラン年間処理能力1500 metric tons規模の再処理施設から放出されるトリチウムは約5.810Ci/yである。